膵臓病及びその関連領域に関する研究助成・膵臓病に関する知識の普及啓発及び国際交流等を行う公益財団法人日本膵臓病研究財団ホームページ

財団について

理事長挨拶

理事長 窪田 敬一
公益財団法人日本膵臓病研究財団
理事長 窪田 敬一
令和4年10月1日

 本財団理事長に就任させて頂いた窪田敬一です。就任に際し一言ご挨拶申し上げます。

 本財団は平成5年に竹内正先生を中心に設立され、平成7年に特定公益増進法人 膵臓病研究財団として認定されました。平成20年施行の公益法人制度改革の法律に基づき、平成24年内閣総理大臣の認定を受け、公益財団法人 日本膵臓病研究財団と名称変更され、現在に至っております。本財団は、膵臓病および関連領域に関する基礎的および臨床研究等を行うことによって、医学の進歩を図り、その結果、国民の健康と福祉の向上に寄与することを主目的としております。

 この目的を達成するため、本財団は、膵臓病およびその関連領域に関する研究助成および褒章、膵臓病に関する知識の普及・啓発および国際交流、目的を達成するために必要な事業を行ってまいりました。膵臓病と一言で言っても、良性から悪性まで多岐に渡り、その代表として、急性・慢性膵炎、悪性新生物としての膵臓癌、神経内分泌腫瘍、膵嚢胞性疾患、があります。急性膵炎は重症化すると未だ致死率が高く、治療が難しい疾患であり、一方、慢性膵炎は、長期間、腹痛、膵内分泌機能障害(糖尿病)、膵外分泌機能障害(膵性消化吸収不良)などを引き起こし、外科手術が必要となることもある難病です。特に、膵臓癌は、早期発見が難しく、切除できても再発し、予後が厳しい疾患です。最近、術前および術後の効果的化学療法の導入により切除後の予後は改善されつつありますが、治療および成績面でさらなる改善が求められています。神経内分泌腫瘍も同様に治療法の改善が必要です。さらに、膵管内乳頭状粘液性腫瘍に代表される膵嚢胞性疾患は臨床で高齢者に多く発見され、治療の難しさが問題となっております。

 そこで、本財団の研究助成の目的として、膵臓病の病態生理、メカニズムの解明および診断・治療を掲げ、具体的には、膵臓病の病態生理に関する研究、膵臓病の診断・治療に関する研究、膵臓癌、膵腫瘍に関する研究、膵性糖尿病、膵外分泌不全の診断・治療に関する研究、に関する応募に対して、研究助成をして参りました。実際、1件あたり30万円から100万円、年間20件以内の研究助成を行い、さらに、国内外の膵臓病関係の学術集会等にも助成し、膵臓病研究の推進に協力しております。研究助成した成果物は研究報告書にまとめホームページに掲載しておりますので、御供覧頂ければ幸いです。また、研究助成者から多くの優秀な人材が輩出されております。

 これらの事業を遂行し、膵臓病研究を継続して進めるには医師、医学医療研究者やその他の皆様のご支援、ご指導が必要です。

 今後とも上述の主旨をご理解の上、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

設立の趣旨

 消化器病は、日常の生活の中で最も多く見られる病気ですが、近年の食生活の欧米化やその他の著しい生活環境の変化によって、消化器病の中でも疾病頻度が著しく変化しています。とくに膵臓病は、近年、上昇傾向の著しい疾患の一つであることから注目されており、急性膵炎・慢性膵炎はもとより膵臓癌などの悪性疾患が含まれ、いずれも難治性あるいは死亡率の高い疾病です。こうした状況の中で膵臓癌は、近い将来その死亡率は、アメリカのように胃癌をこえる可能性があります。本邦の「膵の悪性新生物」による2013年の年間死亡数は約32,300人であり、この10年間で2倍以上と急速に増加しています。しかしながら膵臓病の診断と治療は最も困難なもので、その原因・病態の解明と、治療法の確立が重要な課題になっております。これについては、基礎研究、予防医学、治療技術ともに欧米に立ち遅れているのが現状です。
 すでに古くから米国では、膵嚢胞性線維症財団(Cystic Fibrosis Foundation)が膵研究の助成を行っており、現在は、Cystic Fibrosis Foundationに加えてThe National Pancreas Foundation、The Lustengarten Foundation for Pancreas Cancer Researchが研究助成や学術集会の助成を行っています。
 このような観点から医療現場に密着した、膵臓病及びその関連領域に関する基礎及び臨床研究を推進し、医療活動に資するため、本邦では初めてこの分野の研究助成等を行うことを目的に、本財団の設立を日本膵臓学会理事会の有志からなる設立発起人により計画したのです。

沿革

 膵臓は目立たない臓器ですが近年この病気の存在が注目されるようになってきております。膵臓の病気は急性膵炎、慢性膵炎、膵癌が主な対象になりますがいずれも、近年増加しており、多くは難治性で、中でも膵癌は代表的な難治性の癌として知られています。
 急性膵炎は重症になると生命が脅かされ、集中治療によっても死亡率27-30%とされ、慢性膵炎は長年にわたり腹痛を繰り返し、消化吸収障害を引き起こし、やがて糖尿病を併発するなど、予後の思わしくない病気です。 多くの病気の中でも膵臓病の診断と治療は最も困難なものの一つで、その病気の成り立ちや診断・治療についての研究がさらに重要であることが認識されてきています。
 以上のような背景から、日本膵臓学会理事会の有志数人が膵臓病学の振興と啓発を目的にした財団設立を企画し、有志が私財を提供、さらに関係業界に寄附を依頼し、平成5年6月28日に厚生省により認可、設立されました。
 平成7年2月23日には特定公益増進法人として認可され、その後平成24年4月1日より公益法人制度改革の法律に基づき、主務官庁の内閣府により公益財団法人 日本膵臓病研究財団として認定され、引き続き税法上の優遇措置を受けております。

(C) 2016 公益財団法人日本膵臓病研究財団